映画なんて年に1本観るかどうかって感じの自分ですが、この夏は珍しく観たい作品が多いのでこれまた珍しく一日に二本観てきました。
映画「終戦のエンペラー」公式サイト
「風立ちぬ」公式サイト
それぞれ別のエントリーにしようかと思ったのですが、似たところの多い作品だったので一つにまとめて感想などを書きたいと思います。
終戦のエンペラー
戦後処理の中で天皇の処遇決定までの経緯を、処遇決定に関わった一人の親日米軍人を通して描いた映画です。なので、映画の結論は予め分かっているので、その結論までにどんな経緯があったのか、マッカーサーと昭和天皇とのやり取りがどんな風に描かれるのか?に関心を持って観ました。
太平洋戦争前後で「天皇」という存在の意味が一部の急進的な軍人によって大きく変わってしまったけれど、誤った理解のまま終戦処理が行われなかったことは本当に良かったと思うし正しい判断だったと思う。こんなこと書くと「右」とか言う人も居るけど、それってちょっと短絡的じゃないのかなと思います。ここをこれ以上深く書くつもりはありませんが。
史実を知った上で観るか、知らないで観るかによって受け止め方の変わる映画なのかもしれません。旧日本陸軍一部の軍人が玉音放送の原盤を奪おうとして皇居を襲撃した事件を知らない方も結構いるようですね。とある映画レビュー投稿サイトで「誤った歴史を描いている、こんな事件を聞いたことが無い」と書かれている方がいらっしゃいました。^_^;
映画としては派手さはありませんが、夏八木勲、伊武雅刀、西田敏行等の日本の俳優陣がそれぞれ軍や宮中の幹部の雰囲気を見事に演じていてリアリティを感じる映画でしたし、終戦時の歴史を知るいい機会になりますので、是非観て欲しい作品です。
夏八木勲さん、これが遺作だったのかな落ち着いた良い演技だったので本当に良い俳優を亡くしたのだとあらためて感じました。
あ、一つ個人的に残念だったのはマッカーサー役のトミー・リー・ジョーンズ。トミー・リー・ジョーンズが悪いというわけではなくて、BOSSのCMのイメージが強すぎてマッカーサー元帥に見えませんでした。とはいえ、本作品中のマッカーサー元帥はええ加減なおっさんなんですけど…
風立ちぬ
時代は変わってこちらは太平洋戦争前、零戦の設計者として有名な「堀越二郎」さんの半生をジブリのトーンで描いた作品です。もちろん、戦争を肯定する内容ではありません。少年の頃から飛行機を作ることを夢見た少年のエンジニアとして、一人の男性としての半生を描いた内容です。
これも人によって受け止め方が違うと思いますが、自分はやはりエンジニアとしての側面に感動しました。欧米に比べて工業技術が劣っていた時代、追いつき追い越せと日本のエンジニアが一体として頑張っていた感じがものすごく羨ましいと感じました。特に新しい飛行機の設計に向けた有志の勉強会のところとか。
こういう熱気が今の開発現場にはないなぁとかね ^_^;
あと、「ん?この映画、音が???」と思って帰ってからネットで調べてみたらやっぱり思った通りでした。どういうことか?は実際に映画を観て感じて欲しいと思います。
「となりのトトロ」とか「崖の上のポニョ」みたいな子ども向けの作品ではありませんが、是非是非子どもにも一緒に観てもらってエンジニアへの夢を感じてもらいたいなぁと思う作品でした。
映画館で観て欲しい作品でした
「終戦のエンペラー」は派手な映画ではありませんが、それぞれの場所の空気感を感じられたという意味で映画館で観てよかったなと感じました。「風立ちぬ」もジブリ独特のダイナミックな風を感じられる作品で、これもやはり映画館で観る価値があると思います。
どちらも落ち着いた内容なんですが、大きな映像と再現性の高い音響の方が楽しめる映画でした。