メディア・リテラシー - 世界の現場から -

「メディア・リテラシー」とは、放送、紙、ネットなどの情報メディアを読み解く能力で、現代を生きるにおいて重要な能力の一つだと考えられます。本書は、「メディア・リテラシー」を養うためのイギリス、カナダ、アメリカの取り組みを紹介しています。

本書で初めて知ったのは、イギリスが「メディア・リテラシー教育」の先駆国であること、各国ともに学校での教育に一部ではありますが取り入れられていることでした。学校で教えるといっても、「メディア・リテラシー」を教えられる教師は限られるようで、簡単なことではないと思いますし、実際課題も多いようです。

そして、「メディア・リテラシー」を学ぶということが、単に「メディアを批判的にみる」ということではなくて、自分たち自身がメディアとして活動するということであることは思いつきませんでした。
確かに、単に批判するだけなら、テレビの向こう側で無責任に文句を言ってる「自称評論家」となんら変わりは無いわけで、自己矛盾になりかねません。

元々、メディア・リテラシーを身につけるために何をすれば良いか?と求めて読んだのですが、思った以上に収穫のある内容でした。

コミュニケーション力

「声に出して読みたい日本語」の著者で、NHK教育の「にほんごであそぼ」を企画監修された齋藤孝さんの著書。

文学部の教授で、日本語をテーマにした作品が多い方なので、「言葉」を中心したコミュニケーションを語っておられるのかと思いきや、本文にも登場する「コミュニケーションはエネルギーの交流」という言葉が表す通り、体育会系とも言えるほどアフレッシブな内容でした。

概念的な話だけでなく、対話中のメモの取り方、「偏愛マップ」を通じたコミュニケーションのきっかけ作りなど、実践的な内容も多く有りました。特に「偏愛マップ」には同感、自分を発信すればコミュニケーションのイニシアティブを取ることもできると言うもの。

本書は2004年に書かれたもので、電子メールなどのデジタルなコミュニケーションにはやや批判的な姿勢が見えましたが、SNSが普及している現在、どのようにお考えなのか大変気になるところです。 😉