終末のフール

小惑星が地球に衝突して地球が滅亡する3年前、仙台のあるマンションの住人達の出来事を綴った短編集、なんだけどそれぞれのストーリーは繋がってるので長編とも言えるような作品です。
全体を通したテーマは「生きる」ということ。自分たちがあとどれだけ生きられるか?ということがわかった状態で、人はどんな生き方が出来るのか?ということがテーマになっています。

「終末のフール」
「太陽のシール」
「籠城のビール」
「冬眠のガール」
「鋼鉄のウール」
「天体のヨール」
「演劇のオール」
「深海のポール」

この8つの韻を踏んだタイトル作品で構成されていて、それぞれ独立した作品としても楽しめる(元々は小説すばるに掲載)のですが、登場人物とか出来事が微妙に重なっています。
一番気に入ったのは「演劇のオール」かな、これが一番読後感が良かったです、全体的に読後感が良いのは伊坂幸太郎作品の特徴ですね。

8年後に小惑星が地球に衝突して地球がなくなるとわかり人類が荒れに荒れた後、小康状態を取り戻したというとんでもない設定で「飲み物を確保するために自動販売機の前に列が出来てて、買い占めようとした人が殺される」みたいな話が出てくるんですが、「その割には自動販売機の前にみんなきちんと並んでるんだなぁ」とか少し違和感が無くもなく…^_^;

まぁ、かなりぶっ飛んだ設定なので細かいところを突っ込んでもしょうがないですが、作品全体としては気に入りました。最後にあっという繋がり方をするのかなと思ってましたが、そういうこともなく…

最後であっと驚くような展開になるものを求めているのですが、なかなかそういう作品に出会わないな、贅沢を言い過ぎかな^_^;